今回は歯石除去(歯周病治療)を受けていただいた、トイプードルの「ひめちゃん」に主役になっていただき、麻酔前からお迎えまでをドキュメンタリータッチでご紹介させていただきます!長くなってしまうので何回かにわけてお伝えできたらと思います。
まず最初に大事なことを1つ。
当院では歯石除去を全身麻酔下で行います。
みなさん、歯石のコトだけでなく、全身麻酔についても気になりませんか?ちょっと長いですがぜひ読んでみて下さい。
~麻酔をかけるまで~
全身麻酔の予定の患者さんに、すぐに麻酔をかけるわけではありません!まずは、麻酔前のカラダのチェックです。体重測定や聴診、身体検査はもちろん、当院では「血液検査」は必ず行いますし、患者さんによっては「X線検査」など他の検査も行います。ひめちゃんは血液検査と胸部中心のX線検査を、麻酔前に行いました。
ちょっと脱線します。さて、なぜ検査が必要なのでしょうか?
全身麻酔では、実は何種類ものお薬を使用します。お薬というものは麻酔薬に限らず、どんなお薬でも、多かれ少なかれ身体に負担がかかります。麻酔前検査で、内蔵の機能や状態を把握しておくことが安全な麻酔のためのとても大切な作業なんですね。実際には検査結果だけでなく、手術内容、動物の年齢や性格なども考えて、1人1人に合わせた麻酔薬の量や麻酔方法を決めていきます。。
さあ、カラダの状況はバッチリ確認できました。
では、さっそく全身麻酔!!・・・、ではありません。
まずは、いわゆる全身麻酔薬の前に、痛みを抑える作用のある薬や気分をリラックスさせる薬などを、使用します(前投与といいます)。こういうお薬を事前に使っておくことが、全身麻酔薬の負担を減らしてくれますし、ワンちゃんもリラックス、手術や処置の痛みも少なくしてくれるのです。
↑さっきまで元気いっぱいだったひめちゃん。麻酔前のお薬を使ったところ、ちょっと、ぼーっとしてきました。薬が効いてきましたね。これから全身麻酔です。がんばろうね!
ところで、左手(写真右)に管のようなものがあるのがわかりますか?これは<静脈点滴の管>です。当院では全身麻酔を受ける動物には原則、静脈点滴を行います。点滴には様々な意味がありますが、とくに全身麻酔による低血圧への対応として静脈点滴はとても重要です。また、静脈点滴の管を入れておくことで、いつでも迅速にお薬(緊急薬など)を使うことができます。麻酔中の様々なカラダの変化に対応するため、非常に重要な処置なんですね。
ここまで準備が整えば、あともう少しで全身麻酔を行うことができます。
これからお部屋を移動して準備をしましょう。
実際の全身麻酔はガス麻酔薬で維持します。そのため、まずは気管チューブという管を「のど」に入れます。
このチューブを使って、酸素とガス麻酔薬を正確に送り込み、安定した麻酔を維持するんですね。
無事、気管チューブを入れ終わりました。
安定した麻酔が維持できています。麻酔中は、スタッフがひめちゃんの様子を随時観察します。そして生体モニターという機械も大活躍!身体の様々な情報をリアルタイムで知ることができます。
安全な麻酔を行うために、色々な工夫があるのです。
全身麻酔のことだけで、随分長くなってしまいました。スイマセン
さあ、いよいよ歯石除去・歯周病治療です。
続く・・・・
※part2はこちら
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