院長の窪田です。
新しい治療器具を導入しました。
実は、今年の一月にご報告しましたが
(って、もう忘れてますよね!http://hatorinoah-blog.seesaa.net/article/412611728.html)、
比較的新しいプレート法である<ロッキングプレート>を導入いたしました。
プレートというのは、骨折の治療に使われる、骨と骨をくっつけて固定するための金属です。
昔ながらのプレートをロッキングプレートに変えることで、より安全で治療効果の高い手術が可能になるのですが、今回はこれについて、ちょっと詳しく解説いたします。
実は当院のような一般病院で遭遇する骨折は、ほとんどが<橈尺骨折>です。
え?橈尺・・・骨折?何ソレ?って感じですよね。
橈尺骨とは前腕部の骨です。肘~手首の間と思ってください。
最近とても多いトイ種といわれる小型犬(トイプードルとかポメラニアンとかetc)では、弱い力でこの橈尺骨が折れてしまうのです。
例えば・・・
◆抱っこして落ちた
◆ローテーブルとかソファーから落ちた
◆側溝にはまった
え?そんなんで折れちゃうの!?
という、日常で起こり得る軽い事故で折れます。困ったもんです(-_-;)
トイ種の橈尺骨は割り箸のような細さなんですよ。
で、さらに困ったことに、細いだけでなく血液の流れも少ないので、
折れてしまうとそもそもとても治りにくい場所なんです(-_-;)
イヤですねぇ。。。
でも治療しないといけませんので治療のお話です。
多くのケースで折れると外科手術が必要です。
手術法はプレート法を使うことが多いのですが・・・、難しいことに、昔ながらのプレート法で骨を固定すると、プレートが骨の治癒を阻害してしまい「なかなか骨がくっつかない」というトラブル(=癒合不全と言います)が一定の割合で起こってしまうとされているのですね。
幸い今まで私が行った手術症例で癒合不全がおきたことはないのですが、いろいろな人の話を聞くとそんなに珍しいことではありません。
そこで!この、ロッキングプレートです!
この比較的新しいプレート法だと、骨の治癒反応の阻害を最小限にして、かつより強く固定できるため、この癒合不全がほとんど起こらないとされています。
もともとは人間の骨粗しょう症用に作られた道具なんだそうです。スゴイですね。
これは、トイ種の橈尺骨折にはとても有用です。そもそも治癒しにくい場所だけにロッキングプレートを使う価値は非常に高いでしょう。
ロッキングプレートについては過去に何度か、講義や実習を受けてきました。
機材も導入し、つい先日も講習を受けて、さらにアップデートしています。
不幸な事故にあった動物たちを、よりよい方法で治療することが可能になりました。
ロッキングプレートだけでなく、今後も本当に有用な治療法についてはどんどん導入していきたいと思います。そして、それについての勉強も頑張らねばなりません。一歩一歩、地道に努力です。
今後も、はとりの動物病院をどうぞよろしくお願いいたします。
院長 窪田