2016年02月05日

セミナー参加しました(耳道外科のお話し)

院長です。

最近ブログ更新、サボってました(-_-;)

セミナー参加ご報告も久々です。
が、こちらはサボっていたわけではありませんよ(^^;)

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今回は恒例の、スーパー手術屋、中島尚志先生による【耳道外科】のお話。
アップデートしてきました!

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さて、耳道切除という手術があります。

一般の方からすると、

『え!? 耳、切っちゃうの?』

てな感じだと思います。

正しくは、【外耳道】、という場所の手術です。
外耳道とは、【外界と鼓膜までを連絡する道】、です。
地上入口から地下鉄の改札口まで、みたいなもんです(余計わかりにくいですか?)。

動物の飼主さんの多くは、【外耳炎】、という言葉は聞いたことがあると思います。
(外耳に炎症を起こした状態を指すコトバです。診断名ではありません。)

で、外耳炎の原因にもよりますが、外耳炎をコントロールする方法の1つとして、耳道切除という手術が必要になります。

さて、この外耳炎。とても大事なことが1つ。

身もフタもない言い方ですが、

『治りません!』

いやいや、治りましたよ!と言ってくれる人もたくさんおります。

『先生のおかげで治りました!ありがとうございます!』
と言われれば、確かに嬉しいものですが。。。

実はこれは、厳密には治ったわけではありません。

実は一度外耳炎を起こした耳は、耳道内の分泌腺の構造や数が変化して、元に戻らなくなってしまいます。

そのため、必ず、再発するのです。

そして、必ず、進行していきます。


治ったように見えたのは、一時的に炎症が落ち着き、コンディションがよくなっただけなのです。

現場でも、
・外耳炎に一度もならない動物は、全然ならない。
・外耳炎に一度でもなると、繰り返し外耳炎で来院。

これが普通です。

よく再発時に、

『またなっちゃいました』

と言われてしますが、それが当たり前なのです。

なるべく、コンディションのいい状態を保つには、耳垢の除去などの、日常ケアが大事になります。炎症が軽いうちに早めに投薬することも重要です。こういうケアをしていても、少しずつ進行するのですが、うまくいけば、手術が必要な状況までにならず、一生を過ごせることもあります。

しかし、実際はケアや内科治療だけではコントロールが難しい、進行性の外耳炎がたくさん存在します。

その場合、耳道切除手術という治療法が、外耳炎のコントロールのための、重要な選択肢の1つとなるのですね。

外耳炎が末期的でなければ、耳道の一部を取るだけの、比較的容易な手術(外側耳道切開手術)を行うだけでも・・・、

耳道の環境が大幅によくなります。

よって外耳炎のコントロールが劇的にラクになります。



ただし・・・、一般の飼主の方に「手術」とお話しすると、
なんだか、最後の砦みたいに考えている人が多くて、

『どうしょうもなくなったら手術をー・・・』

みたいな、飼主さんが沢山います。

どの分野の外科手術でもそうですが、
病気が、進行すればするほど、末期になればなるほど・・・

★手術自体が難しくなります。麻酔時間も長くなります。
★重度の合併症が多くなります。
★満足いく結果が得られない可能性が高くなります。


手術をする方もされる方も大変なのです(-_-;)

しかし、いいタイミングで手術が実施できれば・・・

★手術が難しくないケースが多く、麻酔時間も短く済みます。
★合併症のリスクがグンと少なくなります。
★いい結果が出やすくなります。


良いことばかり。

外科手術というモノはあくまで、病気の治療法・管理法の一つです。病気の最初の時点でオプションの一つとして考えておくものなのですね。『最終手段』のように考えるものではありません!

この、耳道外科も、外耳炎が末期的になればなるほど、手術手技が難しくなります。末期的になれば必ず中耳炎になってますので、鼓室という鼓膜よりも奥の奥まで処置しなくてはいけません。難易度も高いですし、なにより合併症リスクがきわめて高くなります(-_-;)。

じゃあどうするか?

外耳炎は、必ず進行性で、本当の意味では治ることがない病態だ、という事は先にも述べました。

ですから、末期的になる前に、もっと簡単な手術で済むうちに、早期に外科治療の介入をしておくことが重要です。外科的介入の結果、耳道のコンディションを保つことが極めて容易になり、進行を抑えやすくなります。

講師の中島先生の言葉がとても印象的でした。

『獣医領域では、外耳炎は皮膚科と同じ領域で語られることが多く、手術が治療オプションとなりにくい。もっと早期に外科手術の介入をしていれば、末期外耳炎で苦しむ動物がグンと減ると思います。早期にやればやるほど外耳炎のコントロールが劇的に、ものすごーく楽になりますよ。』



当院にも、外耳炎の患者さんが多数来院しています。よりよいケアのために、必要なコには手術提案のタイミングを見誤らないよう、今一度注意して診療にのぞみたいと思います。

院長 窪田
posted by はとりの動物病院 at 12:16| Comment(0) | 動物医療の話 | 更新情報をチェックする

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